2020年4月22日、原油先物価格暴落が止まらず、イレギュラーに6月限月⇒7月限月へロールオーバーされました!
ども。投資軍師のかんべえです。
今回も原油です。
それにしても、原油価格暴落が止まりませんね。
そんな中、本日、事件がありました。
それは、GMOクリック証券CFDが通常の価格調整費を待たずに急遽予告なく、原油先物を6月限月⇒7月限月に乗り換えをしました。
これにより原油先物価格が13ドル⇒20ドルくらいに上がっています。
これによってどのような被害があったのか?検証してみたいと思います。
GMOクリック証券はなぜ7月限月に価格調整したのか?
まずは事実を振り返りましょう。
原油先物チャートです。
チャートを見ますと、4月22日の4時15分には13ドルほどですが、一気に20ドルまでワープしています。
これは、GMOクリック証券が急遽、原油先物の対象を6月限月から7月限月に乗り換えたことによるものです。
20/04/22(水) CFD取引 原油の価格調整について(2020年4月)
現在、当社CFDの原油価格を参照しているWTI先物/CMEにおきまして、特殊な需給環境を背景に価格が大幅に下落しております。
つきましては、2020年5月に予定しておりました原油の価格調整(参照限月の変更)を2020年4月21日(火曜日)に実施いたします。乗換前:2020年6月限 ⇒ 乗換後:2020年7月限
この限月変更に伴い、価格調整日である2020年4月21日(火曜日)のニューヨーククローズ時点で未決済の建玉に対し、価格調整額が受払されます。
価格調整は以下の1、2、の要領で実施されるため、結果としてお客様の時価評価総額に影響はございません。
1、 限月変更に伴い、評価レートが期近レートから期先レートに変更されます。これにより、未決済建玉評価損益が変動します。また、ロスカットレートも変動します。
2、 1、の未決済建玉評価損益の変動分を相殺するよう価格調整額を受払します。これにより、未決済価格調整額が変動します。時価評価総額、未決済建玉評価損益及び未決済価格調整額は、PC会員ページ【CFD】-【余力確認】-「内訳」にてご確認いただけます。
(GMOクリック証券CFD口座より抜粋)
このような予告が当日にあり
CFD取引 原油の価格調整結果について(2020年4月)
当社CFDの原油価格を参照しているWTI先物/CMEにおきまして、特殊な需給環境を背景に価格が大幅に下落しております。
つきましては2020年5月に予定しておりました原油の価格調整(参照限月の変更)を2020年4月21日(火曜日)に実施いたしました。
乗換前:2020年6月限 ⇒ 乗換後:2020年7月限
この限月変更に伴い、2020年4月21日(火曜日)のニューヨーククローズ時点で未決済の建玉に対し、1CFDあたり下記金額の価格調整を実施いたしました。
売建玉:7,587 円 買建玉:-7,587 円
(GMOクリック証券CFD口座より抜粋)
ということで、通常は5月の半ばあたりに期先に乗り換える(ロールオーバー)するところをイレギュラーに乗り換えを実施したようです。
その結果、
13.09ドルだった先物が20.13ドルに価格調整されることとなりました。
前回の「原油先物CFDの価格調整解説」でも書きましたが、価格調整による損益の影響はありません。
売りポジションを持っていた人は含み損が7,587円増える一方で価格調整差額のプラスが7,587円計上されます。
急遽、7月限月に乗り換えた理由
これはGMOクリック証券がマイナスの先物価格に対応していないことが主な理由でしょう。
また、5月限月のように急激な暴落でロスカット者が多発するトラブルを防ぐために合ったものと思われます。
一気にマイナス40ドルまで下がってしまうと、もちろん、買いポジションの人はロスカットとなりますが、マイナス分の損失を計上できないとなると、GMOも困るという点もあると思います。
ただ、5月限月のDMM社のように乗り換えが遅いと大変なことになりかねません。
その点、早めに乗り換えをすることはむしろ良いことなのではないかとも思います。
7月限月に急に乗り換えたことにより影響は?ロスカット者続出は本当か?
さて、では、今回のイレギュラーな価格調整による影響はどのくらいあったのでしょうか。
Twitterを見てみますと・・・
GMOのCFD 今朝起きたことのまとめ RT歓迎
マイナスシステムに対応していないので苦肉の策で、いきなり6月限から7月限の緊急的な限月切替(お知らせは深夜2時、いきなり切替)、指値を取り消すという基本的な事をせずに切り替えたので、売り指値の人は切替と同時に約定してロスカットされた模様 pic.twitter.com/snOP3Y3Un1— 響@トレーダー (@Whiskey_bonbon_) April 21, 2020
この場合の売り指値というのは、6月限を想定して例えば13$から20$前後までに売り指値を置いておいた人という意味、つまり限月替えを緊急的にするも売り差し放置なので、限月切替でいきなり約定、自動ロスカが50pipなので、約定して変更する間もなくロスカット
— 響@トレーダー (@Whiskey_bonbon_) April 21, 2020
このようなツイートを発見しました。
かなり拡散されており、GMO社に対する批判コメントも多く入っていましたが、ちょっとこれは誤解があると思います。
「模様」と書かれている通り、実際にこの人がロスカットを体験したわけではない点に注目です。
まず、このツイートを見ると
「売り指値を設定して、価格調整の時は寝てた人が全てロスカットされた」
という感じに読み取れます。
しかし、これはちょっと考えにくいです。
なぜなら、通常、売り指値を注文後、ロスカットレートを変更するからです。
確かにGMO社のやっかいなところではありますが、元々ロスカットレートは50pipsに自動で設定されています。
ですので、何も知らない場合、約定後、0.5ドル逆方向に動くとロスカットされてしまいます。
今の原油相場でそのようなことをしていると、約定するとすぐにロスカットされてしまいます。
ですので、原油先物をトレードしている人は、通常、売り指値を設定後、ロスカットレートを変更します。
このように指値注文後、ロスカットレートを手動で変更することができます。
参考:CFD取引で注文約定前にロスカットレートを変更できますか?
これは通常時もやっておかないと、一瞬でロスカットされてしまいますので、普通はすると思います。
そして、ロスカットレートを変更しておけば、価格調整で調整されますので、ロスカットされることはありません。
例えば、今回の価格調整前に、15ドルで売り指値18ドルでロスカットレートをしてしておけば。
売り指値は15ドルのままなので約定しますが、ロスカットレートは18ドル⇒25ドルくらいに調整されるので、ロスカットはされないという感じですね。
まるで売り指値を設定していた、すべての人がロスカットされたという風に誤解されているのでしたら、それは違いますのでご注意を。
原油cfdを1lot遊びで売り保有してます。17ドルで売ったのにプラスなのは価格調整のおかげですね。 pic.twitter.com/UcowlApD3s
— かんべえ@投資軍師 (@kanbei_toushika) April 22, 2020
ちなみに私は売り玉を保有していて、ロスカットレートを20くらいに設定していました。自動的にロスカットレートは28になっており、そのまま保有できております。
では、今回の価格調整で損失を被ったの人は?
では、GMO社は無実なのか?
それはそうでもなく、やはり、注文を触る猶予もなく限月を切り替えたのは迷惑な話でしょう。
では、今回の価格調整で損失を受けてしまった人はどのような人でしょうか。
まず、前提として
- ロスカットレートは価格調整で調整される
- 指値・逆指値の金額は調整されない
これは理解しておきましょう。
それで、今回の件で損失を受けた人を推測すると・・・
- 売り指値を設定後、ロスカットレートを自動にしていた人
- 買いポジションを保有していて、13ドル~20ドルに決済指値を設定していた人
- 逆指値注文を駆使していた人、例えば、15ドルまで上がったら買うといった設定をしていた人
まず一つ目の
①売り指値を設定後、ロスカットレートを自動にしていた人
ですが、これは先ほども書いた通り、あまり考えられません。
なぜなら、自動のままなら、日中でもすぐにロスカットされてしまうからです。
売り指値を設定して、トレードをほったらかして寝てしまう、なんてことは考えにくいわけです。
売り指値を現在の価格から広めに設定して、約定を待つタイプの投資をしているのであれば、通常はロスカットレートを事前に手動で設定しているはずです。私もそうしています。
続いて
②買いポジションを保有していて、13ドル~20ドルに決済指値を設定していた人
こちらは確かに予想以上に早く、買いポジションが決済されてしまうというデメリットはありました。
まあ、結果論ですが、その日は価格が下落していったので、結果オーライではありましたが・・・。
③逆指値注文を駆使していた人、例えば、15ドルまで上がったら買うといった設定をしていた人
GMOCFDでロスカットレートを使わず、逆指値でトレードするというのはしないとは思いますが・・・。
まあ、こういったケースの人は、価格調整での上昇で、上昇トレンドに転じたと判断した買いをしてしまうわけですから、ちょっと困りますね。
といった感じで、やはり、価格調整をするなら、「指値・逆指値」の数値もしっかりと調整してほしいところですね。
この点はGMO社に改善希望です。
まとめ ただ早めに切り替えたことは良いのでは?
以上、GMOクリック証券CFD口座におけるイレギュラーな価格調整について検証しました。
通常はロスカットレートを事前に設定していますから、この価格調整でロスカット者が続出というのは考えにくいです。補填とかいうレベルではさすがにないでしょう。
ただ、事前予告がほぼない状態での切り替えには不満がありますし、指値・逆指値の数字も価格調整してほしいところですよね。
ただ、早めに期先に切り替えたのは良いことなのかもしれません。
実際、5月限月がマイナス価格になった時、DMMCFDではロスカット祭りでしたが、GMOCFDはすでに6月限月に切り替えていましたので、20ドル前後で推移しており、ほぼ無傷でした。
参考:原油先物価格がマイナスまで大暴落!どういうことなのか?今後の投資戦略も
この点からも、むしろ、顧客にとってプラスになるのではないかと思います。
CFDや先物については、投資家と謳っている人も自分も含め、わけがわかっていないケースも多く、誤解されやすいので、しっかりと、ご自身で考え、判断するようにしましょう。
「よくわからないものには投資はしない」
ということから、初心者の方には特に、原油投資はおすすめしません。