ども。投資軍師のかんべえです。
今回はスワップ投資についてです。
スワップ金利だけで生活ができるのか?高金利の通貨であれば可能なのではないか?と思う人も多いかもしれません。
この件について、先日このようなツイートをしました。
メキシコペソでスワップ金利生活は可能か?ということで、よく、スワップ金利で生活するためにはいくら運用したらいいかというのをシュミレーションしているブログ等を見かけますが、これは危険です。
為替価格が一定で、かつ金利も一定であるというあり得ない状況を想定したものとなりますからね。
— かんべえ@投資軍師 (@kanbei_toushika) May 14, 2020
コロナショック前までは特にスワップ投資生活(スワポ生活)を目指すといったブログやツイートを多くみられましたが、これはかなり危険です。
スワップポイント生活のシュミレーション
最近はコロナショックの暴落の影響であまりスワップ生活は盛り上がっていませんが、以前までは各項金利通貨を事例に上げて、スワップポイントで生活するためのシュミレーションが良く見られました。
例えば以下のようなものです。
トルコリラスワップポイント生活シュミレーション
トルコリラのスワップポイントの金額(10,000リラあたり1日発生するスワップの金額)
- みんなのFX:21円
- LIGHT FX:21円
- ヒロセ通商:15円
(2020年5月15日)
年間のスワップ金利シュミレーション
- 1万リラ保有した場合の年間のスワップ金利:21円×365日=7,665円
- 10万リラ保有:76,650円
- 100万リラ保有:766,500
- 300万リラ保有:2,299,5000円
このような感じで、300万リラ保有すると、月20万円近くの金利を得ることができます。
1リラ15円とすると、300万リラは約45,000,000円必要
レバレッジ5倍であれば資金1千万円あれば可能。
※現在、トルコリラは暴落の影響でスワップ金利の金額がかなり低くなっています。
メキシコペソスワップポイント生活シュミレーション
続いてメキシコペソです。
- みんなのFX:80円
- LIGHT FX:80円
- ヒロセ通商:80円
(2020年5月15日時点)
(100,000ペソ当たり)
メキシコペソの場合、100,000ペソを保有すると1日80円のスワップ金利を得ることができます。
- 10万ペソ保有した場合の年間のスワップ金利:80円×365日=29,200円
- 100万ペソ保有:292,000円
- 800万ペソ保有:2,336,000円
約800万ペソ保有すると月20万円近くの収入が得られることとなります。
1ペソ4.5円ですので、×800万=36,000,000円
レバレッジ3倍であれば、約1千万円ほどの資金で可能となります。
南アフリカランドスワップポイント生活シュミレーション
最後に南アフリカランドも見てみましょう。
- みんなのFX:61円
- LIGHT FX:61円
- ヒロセ通商:60円
(2020年5月15日時点)
(100,000ランド当たり)
南アフリカランド円の場合、100,000ランド保有すると1日に60円ほどスワップ金利が発生します。
- 10万ランド保有した場合の年間のスワップ金利:60円×365日=21,900円
- 100万ランド保有:219,000円
- 1000万ランド保有:2,190,000円
約1000万ランド保有すると、月20万円近くのスワップ金利を得ることができます。
南アフリカランド円を7円とする
7円×10,000,000ランド=70,000,000円
レバレッジ5倍にすると約14,000,000円の資金があれば可能となります。
シュミレーションすると夢が広がる
現状は暴落の影響でスワップが下がっていますが、安定して高いメキシコペソで計算すると、スワップ金利生活が可能であるように思えてきます。
月20万円は無理でも、月10万円であればその半分の資金でいいわけですから、5百万円くらいつぎ込んでレバレッジをかければ理論上可能になります。
複利の効果で入ってきたスワップを再投資していけば、もっと早く、資産を増やしていけると考えられます。
スワップ生活は不可能!シュミレーションは絵に描いた餅です
ですが・・・上記のシュミレーションは絵に描いた餅です。
このスワップ生活のシュミレーションは
- スワップ金利がずっと一定
- 為替の価格もずっと一定
という、あり得ない前提の下での数字になります。
ご存知の通り、トルコリラもメキシコペソも南アフリカランドもスワップ利回り以上に暴落していますし、政策金利の低下に伴いスワップ金利も下がっていっています。
トルコリラはFXが人気となった40円台から現在は15円台まで暴落しています。50%以上の暴落です。
メキシコペソも6円前後から4円台へ。30~40%の下落です。
南アフリカランド円チャートも同様に暴落しています。
例えばメキシコペソの場合5円台で安定していました。
それを元に、スワップ金利生活をシュミレーションしていたかと思います。
ですが、現在は4円台に暴落しています。
スワップ利回りが8~10%ほどだったと思いますが、今回の暴落で、30~40%ほどの暴落してしまっています。
恐らくほとんどの人が利回りがマイナスとなっているでしょう。
スワップ金利生活のシュミレーションを本気で信じて、数百万円投資してしまった人もいるかもしれません。
もちろん、暴落したのはコロナのせいなのですが、長期チャートを見てもわかる通り、新興国通貨は必ず暴落します。
この暴落を加味しない、そして政策金利が一定であると仮定したスワップシュミレーションは全く意味がないのです。
新興国通貨は下落します。そしてほぼ戻りません。
「暴落したけどいつか戻るし、戻らなくてもスワップ金利で回収できる」
こんな意見もあると思います。
ですが、これもなかなか難しいです。
長期チャートを見てもらえればわかる通り、過去の元値にはまあ戻らないんです。
例えばリーマンショック前はトルコリラは100円近くありました。リーマンショックは去り、2012年あたりは経済の回復で円安が進みましたが・・・・
トルコリラは元値に戻っていません。
少しの回復はありましたが、米ドル円のように元値に戻るようなことは起きていません。
ということは、現在は15円に暴落していますが・・・。
20円くらいの回復はあるかもしれませんが、30円、40円に戻る可能性はかなり低いと考えた方が良いでしょう。
そもそも、日本とトルコではインフレ率にも差がありますので、年々インフレ率の高いトルコとの差は開いていくわけです。
もちろん、トルコ経済が劇的に回復することや、日本が大きくインフレになる等が起きれば可能性はゼロではないと思いますが・・・。
同様にメキシコペソも
こちらは確かにトルコリラより戻りはあります。しかし、2015年の8円台に戻ることがあるでしょうか。
リーマンショック前の10円台には?
これもなかなか難しいでしょう。
新興国通貨は基本は下落トレンドであることは理解したほうがいいです。
それを加味すると、毎月積立投資も危険です。
また、安定しているときに大きく投資してしましますと、暴落し、塩漬けになってしまう可能性が非常に高いです。
為替が安定している時期があったとしても、長期で本当にスワップ生活が可能なのか?という視点で見る必要がありますね。
トルコリラは塩漬けに
と、偉そうなことを言っていますが、私もトルコリラは2016年の40円台から投資しており、塩漬けとなっています。
- 買いポジション:99lot=99,000リラ
- ポジション損益:-1,504,631円
- 未実現スワップ:855,936円
- 評価損益:-648,696円
まさかここまで下がるとは思っていませんでしたが、2016年から下がるたびにナンピンを買いをし続けてたところ、利回りはマイナスとなっています。
スワップ金利が高いのでいつかは回収できると思っていたのですが、4年投資を続けて、いまだにマイナスです。
詳しくは前回の「トルコリラ長期保有塩漬けの出口戦略を改めて考える。現在のスワップ利回りも検証」を参考にしてください。
新興国通貨も投資のメリットはある?上昇局面があるのは事実
とはいえ、新興国通貨に投資を全くするなとも思えません。
長期チャートを見れば、上昇局面もあるからです。
例えば、メキシコペソ円チャートを見ますと、2013年には6円から9円まで回復をしていますし、2016年では4円から6円まで回復しています。
上昇局面はあるわけです。
つまり、この上昇局面前に買うことが大事なわけです。
それが、ブログでも何度も書いていますが、暴落時にのみ買うという手法です。
長期チャートを見ても大暴落の後にはある程度の戻りがあります。
ですので、暴落時にのみ買っていれば勝てるはず、という単純な手法です。
暴落時に買うためには平常時のレバレッジを1倍以下にしておく必要があります。
つまり、スワップ金利狙いで多くを投資しないということですね。
詳しくは本ブログの「新興国通貨FXで堅実に稼ぐための戦略を検証(リラ、ペソ、ランド)」に書いていますので参考に。
実際に暴落時に買っています。メキシコペソで実践
そして、今まさに新興国通貨が暴落しています。
ですので、ルール通りいくと、今が買うときというわけです。
というわけでメキシコペソで実践しています。
4.2円まで暴落しているわけですが、まさに今買っていっています。
そして、現在の平均取得単価を5.077円まで下げることができています。
30万円ほどのしきんでやっていますので、まだレバレッジ2倍になっていません。
また暴落が来れば、4円割れあたりでさらに買って、平均取得単価を4円台にする予定です。
そして、5円近くまで戻れば、また、レバレッジを1倍以下にするまでポジションを減らしていきます。
そして、次の暴落まで待つという戦法です。
参考:メキシコペソスワップ投資の利回りを改めて検証。長期トータルで勝つためには?
果たしてうまくいくのか?今後も経過をご報告させていただきます。
まとめ
以上、スワップ金利生活を目指すのは危険であるということを書かせていただきました。
新興国通貨は安定しているときに買うのはリスクが高すぎます。
定期的に暴落が来るものと思っていた方が良いでしょう。
もちろん、上昇局面もありますので、大きく買っていなかったことに後悔することがあるかもしれませんが、投資で大事なことは「損をしない」ということです。
利益を得られなかったことはそれほど大きな問題ではありません。
チャンスの時だけ仕掛けられるよう、じっと待ち構えておきましょう。